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ヘット・アンケル醸造所が造る2019年春の新作,限定品です。
スタイルは,ベルギービールには珍しいセッションIPAです。

本作は,セッションIPAスタイルの流行によって人気が再燃した,低アルコールビールの伝統に基づいて醸造されたビールだそうです。
ヘット・アンケル醸造所は,ベルギーのブリュッセルとアントワープの中間,アントワープ州のメッヘレンという町にあります。
メッヘレンの最も古い記録によれば,ヘット・アンケル醸造所の歴史は1369年まで遡ることができますが,実際にはそれ以前から操業が始まっていたようです。
日本でいうと,室町時代ですかね。
とても歴史がある醸造所のようです。
その後,ヴァン・ブレーダム家が1873年にヘット・アンケル醸造所を買収し,ベルギーで最初の近代的蒸気式醸造工程を用いた醸造所のひとつへと拡大しました。
1990年代の終わりには同ファミリー出身の5代目当主であるシャルレ・レクレが醸造所の再生計画をスタートさせ,生産設備への新規投資と醸造所の古い建物の修復にとりかかりました。
現在は,一般見学者が歴史的な醸造所の建物を見学することができ,パブやレストランが併設されたビール博物館や小さなホテル設備も利用できるようです。

この醸造所の主要銘柄,「グーデン・カロルス」は,ヘット・アンケル醸造所のあるメッヘレンで育ったハプスブルク家出身の神聖ローマ皇帝カール5世(1500-1558)にちなんだ銘柄です。
カール5世は,スペイン国王としてはカルロス1世と呼ばれています。
ハプスブルク家の絶頂期に君臨し,その治世は,ヨーロッパ統合を果たしたカール大帝以来の歴史的ヨーロッパ概念の体現者とも言われています。
詳しく述べると,世界史の勉強になってしまうのでやめておきます。
などと言って,実はよく知らないのです。
問題は,中身です。
世界史ではありません。
早速飲んでみましょう。

グラスに注ぐと,微かに濁った濃いゴールドの液体です。
ほのかに柑橘の香りが漂います。
口に含むと,瑞々しくも芳醇,モルトの旨味がしっかりしています。
すっきりライトで,それでいて深い味わい。
これはうまいです,感動ものです。
伝統と流行が見事に融合しています。

原材料は,麦芽,ホップ,ライ麦,糖類,ジュニパーベリーとなっています。
アルコール度数3.7%。330ml547円。

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(2019.11.6.)